毛先の負担を抑えるために、3%や1.5%のオキシを選ぶことがあります。ただし、オキシの濃度だけで、カラー施術全体の負担を判断することはできません。1剤の薬剤特性や配合、毛先の状態も合わせて考える必要があります。
ヘアカラーの1剤と2剤は「1:1で混ぜる」と覚えている方も多いかもしれません。しかし、指定される割合は製品や色番によって異なります。たとえば同じ製品シリーズでも、明るさによって1:1と1:2が使い分けられるものがあります。www.demi.nicca.co.jp
狙った発色を安定して再現するには、まずは、メーカーがその製品・色番に指定した割合を守ることが基本です。そのうえで、2剤の量やオキシ濃度を変えると何が変化するのかを理解しておくと、仕上がりを考える際の判断材料になると同時に、カラー剤の基礎的な理論が理解できるようになります。
この記事では、配合割合とオキシ1.5%・3%・6%の違いを整理し、白髪染めとファッションカラーを使った毛束検証で実際の見え方を確認します。
ヘアカラーの1剤と2剤は、メーカー指定の割合が基準
酸化染毛剤の1剤には酸化染料やアルカリ剤、2剤には過酸化水素などが含まれています。混ぜて使用することで、髪を染める作用と、髪のメラニンを脱色する作用が起こります。www.jhcia.org
ただし、どのカラー剤も1:1で混ぜるわけではありません。製品や色番によって1:1、1:2など、指定される割合は異なります。使用する1剤と2剤の組み合わせを確認し、まずはメーカー推奨どおりの配合で得られる仕上がりを基準にすることが大切です。www.demi.nicca.co.jp
2剤を増やせば必ずよく発色する、あるいは1剤の比率を高くすれば必ず濃く染まる、とは言えません。狙いどおりの発色を安定して得るには、その製品が想定している割合を守ることが出発点になります。
1剤と2剤の割合を変えると何が起こる?
仮に1剤を20g使う場合、1:1なら2剤を20g、1:2なら2剤を40g加えます。
1剤の使用量はどちらも20gですが、混合液全体に占める1剤の割合は50%から約33%に下がります。一方、3%オキシを使用したとすると、混合液中の過酸化水素濃度は計算上、1:1で約1.5%、1:2で約2%になります。
つまり、2剤の量を増やすと、混合液に占める染料やアルカリ剤を含む1剤の比率が下がり、過酸化水素の比率は上がります。この二つが同時に変わるため、配合の数字だけを見て「薄く染まる」「必ず明るくなる」とは決められないのです。
今回の毛束実験では1:2は比較条件に入れず、1:1のままオキシ濃度を変えた場合と、トリートメントを加えた場合を確認します。
オキシ1.5%・3%・6%では何が違う?
アルカリ剤と過酸化水素の役割
1剤に含まれるアルカリ剤には、髪を膨潤させ、酸化染料が内部に入りやすい状態をつくる働きがあります。2剤に含まれる過酸化水素は、酸化染料を発色させるとともに、メラニンを酸化・分解して髪を明るくする働きにも関わります。www.jhcia.org
そのため、仕上がりの色は「染料がどの程度発色したか」だけでは決まりません。特に黒髪では、元のメラニンがどの程度残るかによって、同じ染料の色も違って見えます。
また、毛髪の性質はpH環境の影響も受けます。そのため、毛先の負担を考える際は、2剤の濃度とともに、1剤のアルカリ性や配合、放置時間、これまでの施術履歴も確認することが大切です。「3%だから傷まない」「6%だから必ず傷む」と、数値だけで判断することは避けます。
同じ1:1で混ぜた場合、濃度によって何が変わる?
酸化染料の発色には、混合液中の過酸化水素が約1%程度あることが理論上の目安です。1剤と2剤を1:1で混ぜると、混合後の過酸化水素濃度は、1.5%オキシで約0.75%、3%オキシで約1.5%、6%オキシで約3%になります。
この目安から考えると、6%のオキシは「染料を発色させるためだけ」に選ぶものではありません。過酸化水素の濃度が変われば、メラニンの脱色や、それに重なって見えるカラーの色味も変わる可能性があります。ただし、濃度が2倍になれば明るさや色の濃さも2倍になる、という関係でもありません。
今回は、1.5%も含めて毛束を比較します。白髪を含む毛束では白髪の染まりと黒髪部分の明るさ、18レベル毛束では色の入り方や色味に注目します。
毛束で検証|オキシ濃度とトリートメント添加配合で発色はどう変わる?
根元を想定した白髪染めと、毛先を想定したファッションカラーを別々の検証として行います。根元用には白髪を含む毛束4本、毛先用には同じ品番の既製18レベル毛束4本を使用します。
それぞれのグループでは、同じカラー剤の1剤・同じ色番を使い、次の4条件を比較します。
| 毛束 | 配合 | 混合後の過酸化水素濃度(計算値) |
|---|---|---|
| A | カラー剤:1.5%オキシ=1:1 | 約0.75% |
| B | カラー剤:3%オキシ=1:1 | 約1.5% |
| C | カラー剤:6%オキシ=1:1 | 約3% |
| D | カラー剤:6%オキシ:トリートメント=1:1:2 | 約1.5% |
※スマートフォンでは表を横にスクロールできます。
※計算値は、1剤と添加するトリートメントに過酸化水素が含まれない場合の、配合量から求めた値です。実際に測定した濃度ではありません。
A・B・Cでは1剤と2剤の割合を1:1に揃え、オキシ濃度による違いを見ます。Dはトリートメントを加えた配合です。BとDは過酸化水素濃度の計算値が同じ約1.5%ですが、Dにはトリートメントが入り、カラー剤の占める割合も異なります。仕上がりに差が出ても、それを過酸化水素だけの効果とは考えず、配合全体の違いとして観察します。
白髪染めでは、白髪の染まりと黒髪部分の明るさを見る
白髪を含む毛束4本を、A〜Dの条件で染めます。白髪に入った色の濃さだけでなく、黒髪部分の明るさ、全体の色のなじみ方、色ムラを確認します。
使用薬剤・検証条件
1剤:タマリスアミカ 7BL
使用毛束:白髪率 20%
放置時間:塗布後25分放置
写真が見にくいですが、発色で比べるとB=C>A>Dという結果になりました。発色という点に関しては、やはり、混合液中で0.75%ではオキシ濃度が足らず、酸化重合しきれていない(発色しきっていない)のがわかると思います。3%と6%ではほとんど発色の違いはないですが、オキシ濃度が高い方がブリーチ力が強まるので、Cの毛束の方が明るくなっています。最後のDの毛束に関しては、PHも色素量もアルカリも落ちるので(トリートメントはph6.5)同じ1.5%(Aの毛束)でも発色、リフト力が下がるので、Aの毛束の方がしっかり色が入っています。つまり、オキシ濃度だけではなく、薬剤中のアルカリの種類や量で発色も変わるという事がわかります。ただし、トリートメントが入っている分、手触りは4つの毛束に中では最も良く、柔らかさを感じますし、実際の髪の負担も最も優しくなっています。
18レベル毛束では、ファッションカラーの色味と濃さを見る
同じ品番の既製18レベル毛束4本を使い、同じファッションカラーの1剤・同じ色番でA〜Dを比較します。こちらは、色の濃さ、色味、均一性と、乾かした後の手触りに注目します。
使用薬剤・検証条件
1剤:ナカノ キャラデコA/v7t
使用毛束:18レベル
放置時間:25分放置
まずはAの毛束とBの毛束を比較すると、やはりAの方が発色はわるくなっています。グレイカラーの実験と同様、やはり混合液中のオキシ濃度は1%はないと発色しにくくなることが分かります。BとCの発色はほぼ変わらないので、リフトが必要ない場合、3%で十分発色するのがわかります。最後のDの毛束に関しては、グレイ同様、発色に関する数値が落ちますので、最も発色効率は悪くなっていますが、手触り質感は、最も良い状態になっています
比較結果を見るときの注意点
白髪染めとファッションカラーでは1剤も毛束のベースも異なるため、結果はそれぞれのグループ内で比較します。毛束の重さ、塗布する混合液の量、放置時間、洗浄・乾燥方法、撮影条件をできるだけ揃えます。
また、写真から読み取れるのは主に色の見え方です。手触りは実際に触れた所感として分けて記録し、写真だけでダメージの大小を断定しません。
サロンワークでは、推奨配合を基準に仕上がりを考える
サロンでカラー剤を選ぶときは、まず使用する製品・色番に対するメーカー指定の割合と2剤を確認します。根元では白髪率や黒髪の明るさ、毛先では現在の明るさや残留色素、髪の状態を見て判断します。
大切なのは、メーカー推奨の配合でどのように発色するかを知ったうえで、配合を変えたときに何が変化したのかを実物で確かめることです。検証結果が揃ったら、色の見え方と質感を分けて整理します。
よくある質問
1剤と2剤の割合は、どのカラー剤も1:1ですか?
いいえ。製品や色番によって指定割合は異なります。使用するカラー剤の説明を確認してください。
1:2にすれば、1:1より薄く染まりますか?
混合液に占める1剤の比率は下がりますが、2剤由来の過酸化水素の比率は上がります。そのため、仕上がりが必ず薄くなるとは言えません。今回の毛束実験では、1:2の発色比較は行いません。
6%オキシの方が、3%よりしっかり発色しますか?
6%にはより多くの過酸化水素が含まれますが、染料の発色が必ず強くなるとは限りません。過酸化水素はメラニンの脱色にも関わるため、髪のベースによって色の見え方が変わります。今回、1.5%・3%・6%を同じ1:1で比較する理由は、この違いを確認するためです。
トリートメント添加配合の1:1:2は、どのカラー剤にも使えますか?
この配合は今回のトリートメント添加配合の比較条件です。別の製品にそのまま当てはめず、使用する薬剤の指定と毛髪の状態を確認します。
まとめ|割合とオキシ濃度を分けて考える
ヘアカラーの1剤と2剤は、メーカー推奨の割合を守ることが発色の基準です。2剤の量を変えれば混合液中の1剤と過酸化水素の比率が変わり、オキシ濃度を変えれば染料の発色やメラニンの脱色に関わる条件が変わります。
今回は、1:1でオキシ1.5%・3%・6%を比較し、トリートメント添加配合の1:1:2も加えます。白髪を含む毛束と既製18レベル毛束で得られた写真・観察結果をもとに、どの配合で、色と質感がどう変わったかを追記します。
毛先の負担を抑えるには、オキシの濃度を下げることだけで完結させず、1剤の薬剤特性や配合、髪の状態まで含めて考えることが大切です。今回の毛束写真は発色を比較するためのもので、写真だけでダメージの大小を証明するものではありません。色の見え方と毛先への負担を分けて整理し、薬剤選定の判断につなげていきましょう。


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[…] 新生部と既染部でオキシの濃度や配合をどう考えるかは、「カラーオキシの使い分けとアルカリコントロール」で詳しく解説しています。 […]