ブロム酸と過酸化水素は、パーマや縮毛矯正の2剤に使われる酸化剤です。ブロム酸と過酸化水素の違いは、主に酸化反応の進み方と、それに合わせた施術条件にあります。一般に、過酸化水素系は反応が比較的速く、臭素酸塩系(通称ブロム酸)は必要な放置時間を長く設定する製品が多くあります。ただし、成分名だけで仕上がりや「どちらがよいか」を決めることはできません。
ギークでは、チオでストレート処理した毛束を使い、最初の2剤を「ブロム酸10分」「ブロム酸20分」「過酸化水素10分」に分けて試しました。その後に行ったロッド処理で、毛束の形状がどう変わったかを見ていきます。
ブロム酸と過酸化水素は何が違う?
2剤の役割と主成分
パーマや縮毛矯正では、1剤の還元処理のあと、2剤で毛髪を酸化させます。美容師の会話では2剤を「中和」と呼ぶこともありますが、酸とアルカリを中和する工程と、還元後の結合を酸化する工程は分けて考える必要があります。
2剤の主成分として使われるのが、臭素酸塩(ブロム酸系)と過酸化水素(過水・オキシ系)です。
参考:日本パーマネントウェーブ液工業組合「パーマQ&A」https://www.perm.or.jp/about-perm/faq/
反応速度・放置時間・質感を比較
| 比較項目 | ブロム酸系(臭素酸塩) | 過酸化水素系(過水・オキシ) |
|---|---|---|
| 反応の傾向 | 比較的穏やか | 条件によって速く進む |
| 放置時間の一般的な目安 | 約10〜15分とする製品がある | 約5〜10分とする製品がある |
| 仕上がりの傾向 | 引き締まった質感 | しなやかな質感 |
| 注意点 | 塗布量・所定時間が不足すると酸化不足につながる | 1剤の残留や高いpHなどの条件では、急な反応や毛髪への負担に注意する |
これは成分ごとの一般的な比較です。実際の濃度、pH、剤形、放置時間は製品によって異なります。使用する製品の説明と、その日の毛髪状態を優先してください。また「オキシなら退色し、ブロム酸なら退色しない」といった分け方も、すべての施術には当てはまりません。
参考:デミ コスメティクス「過水系のパーマ2剤の注意点は?」https://www.demi.nicca.co.jp/inquiry/faq/0032.html
2剤を選ぶ前に確認したい条件
中間水洗とpH
2剤を比べる前に、1剤を十分に洗い流せているかを確認します。還元剤が毛髪に残っていると、塗布した2剤の酸化剤がその反応に使われ、狙った酸化が進みにくくなります。中間水洗は、2剤を働かせるための工程でもあります。
過酸化水素は、1剤後の毛髪がアルカリ側に傾いている条件で酸化作用が大きくなります。中間水洗や製品に合った処理を行い、反応の急激な進み方や余分な負担を抑えます。「酸性ストレートだから必ずブロム酸」「過酸化水素なら必ず完全酸化」と一律には決められません。1剤・2剤の設計と施術条件を組み合わせて判断します。
参考:日本パーマネントウェーブ液工業組合「パーマQ&A」https://www.perm.or.jp/about-perm/faq/ / デミ コスメティクス「過水系のパーマ2剤の注意点は?」https://www.demi.nicca.co.jp/inquiry/faq/0032.html
塗布量と放置時間
塗り残しがあれば、指定された時間を置いても、その部分には2剤が十分に触れません。ブロム酸の放置時間だけを延ばす、あるいは過酸化水素なら短時間で済ませる、と時間だけで考えず、塗布量と毛髪への接触を含めて見ます。
毛束実験:ブロム酸10分・20分と過酸化水素10分を比較
この実験では、最初にストレートの状態で行う2剤処理だけを3条件に分けました。次に3束とも同じロッド処理と追加のオキシ処理を行い、最後に残った形状を比較しています。最初の2剤をつけた直後の写真だけを比べる実験ではありません。
実験手順と3束の条件
- pH9のチオで15分還元し、アイロンを通してストレートの状態にする。
- 左の毛束にはブロム酸を20分、中央にはブロム酸を10分、右には過酸化水素を10分、最初の2剤として塗布する。
- 3束とも洗い流したあと、7mmのロッドを巻いて10分間乾燥させる。
- ロッドを巻いた状態で3束とも過酸化水素を再度塗布し、洗い流して自然乾燥させる。
| 写真での位置 | 最初の2剤 | 最初の放置時間 | 後から共通して行った処理 |
|---|---|---|---|
| 左 | ブロム酸 | 20分 | すすぐ → 7mmロッド・10分乾燥 → オキシ再塗布 → すすぐ・自然乾燥 |
| 中央 | ブロム酸 | 10分 | 同上 |
| 右 | 過酸化水素 | 10分 | 同上 |

写真で確認できた形状の違い

写真では、ブロム酸で最初の2剤処理をした左と中央の毛束にカールが見られます。過酸化水素で処理した右の毛束は、2束と比べるとストレートに近い形状を維持しました。ブロム酸を20分置いた左の束も、今回の比較ではロッドによる形状の変化が残っています。
私たちギークはこの結果を見て、最初の2剤の条件が、その後の形状変化のしやすさに関わっている可能性を考えました。とくに、放置時間を10分から20分へ延ばすだけでは、右の過酸化水素処理の毛束と同じ形にはなりませんでした。
この結果から言えること、言えないこと
この写真から確認できるのは、今回の3条件では、後から同じロッド処理をした際に形状差が出たということです。ただ、今回の実験では、毛髪中のSS結合が何%再形成されたか、どの深さまで酸化が進んだかは測定できていません。
そのため「ブロム酸は必ず未酸化になる」「過酸化水素10分で完全酸化した」とまでは言えません。ただ、ギークとしては、今回の実験結果を踏まえ、オキシでの酸化処理を推奨しています。また、別の薬剤、濃度、毛髪履歴でも同じ結果になるかは、条件をそろえた追加検証が必要です。
よくある質問
ブロム酸と過酸化水素は、どちらが髪を傷めますか?
成分名だけで一方が常に低ダメージとは決められません。過酸化水素はアルカリ側などの条件で酸化作用が急に強まることがあり、ブロム酸系も量や時間が不足すれば十分な酸化処理になりません。使用する製品と1剤後の状態を合わせて判断します。
ブロム酸の放置時間を延ばせば、過酸化水素と同じ結果になりますか?
今回の実験では、ブロム酸を20分置いた毛束も、オキシ10分の毛束と同じ形状にはなりませんでした。ただし、これは今回の製品・条件で観察した差です。すべてのブロム酸製品が時間を延ばしても十分に酸化しない、という意味ではありません。
ブロム酸と過酸化水素を混ぜることはできますか?
混合しないでください。日本パーマネントウェーブ液工業組合は、両2剤を混ぜると有毒ガス発生の危険があると説明しています。それぞれの製品の使用上の注意に従って扱います。
参考:日本パーマネントウェーブ液工業組合「パーマQ&A」https://www.perm.or.jp/about-perm/faq/
まとめ
ブロム酸系と過酸化水素系には、反応速度や施術条件、仕上がりの傾向に違いがあります。今回の毛束実験では、最初の2剤を変えた3束に同じロッド処理を行った結果、ブロム酸処理の2束にカールが見られ、過酸化水素処理の束は比較的ストレートを維持しました。
実験が示すのは、この条件での形状差です。2剤の選択に加えて、中間水洗、塗布量、製品が指定する放置時間を意識し、酸化反応をしっかりと行うことで、形状の持ちや」ダメージ軽減につながりますので、意識してみてください。何がご質問等ありましたら、公式ラインよりお問い合わせお願いいたします。


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