【白髪染めの仕組みを徹底解説!PHとアルカリ度の関係性】

同じ8レベルのカラー剤でも、おしゃれ染めと白髪染めでは、髪への負担が同じとは限りません。

ギーク内でこれまで薬剤を比較・検証してきた中では、同じレベル表記であれば、白髪染めのほうが髪に負担がかかりやすい設計になっていることがほとんどです。つまり、カラーチャート上の明るさが同じでも、毛髪内部で起きている反応まで同じとは限らない、ということです。

その理由として考えられるのが、黒髪を明るくするリフト力の違いと、白髪へ十分な染料を届けるために必要なアルカリ度数の違いです。

白髪染めは、黒髪を希望の明るさまでリフトしながら、色素を持たない白髪へ十分な染料を入れなければなりません。染料を毛髪内部まで届け、そこで発色・定着させるためには、毛髪が膨潤した状態とアルカリ性の反応環境を一定時間維持する必要があります。

ここで重要になるのが、pHの高さだけでは分からない「アルカリ度数」です。

この記事では、白髪染めが発色する仕組みを整理しながら、pHとアルカリ度数の違い、同じレベルでも白髪染めのほうが傷みやすい理由、美容師が薬剤を選ぶときに確認したいポイントを解説します。

目次

白髪染めが発色する基本的な仕組み

白髪染めとおしゃれ染めは、どちらも一般的には酸化染毛剤に分類されます。目的は違いますが、髪の内部で起こる基本的な反応は同じです。

白髪染めが発色する3つの仕組み|膨潤・メラニン分解・染料の酸化発色と定着
白髪染めでは、毛髪の膨潤・メラニンの分解・染料の酸化発色と定着が同時に進みます。

アルカリ剤によって毛髪を膨潤させる

カラー剤の1剤に含まれるアルカリ剤には、毛髪を膨潤させる働きがあります。

毛髪が膨潤すると、キューティクルが開き、染料中間体や過酸化水素が内部へ浸透しやすくなります。この膨潤が不十分であれば、染料を毛髪内部まで届けにくくなり、白髪の染まりが浅くなったり、色が浮いて見えたりする原因になります。

過酸化水素によってメラニンを分解する

1剤と2剤を混ぜると、アルカリ性の環境で過酸化水素の反応が進みます。この酸化反応によって、黒髪に含まれるメラニン色素が分解され、髪が明るくなります。

これが、いわゆるリフトです。

どこまでメラニンを削るかによって、発色の土台となるアンダーが変わります。当然、必要以上にリフトすれば、毛髪への負担も大きくなります。

染料が毛髪内部で発色・定着する

同時に、染料中間体とカプラーが酸化反応によって発色します。毛髪内部へ入った小さな染料分子が酸化重合によって大きくなり、髪の内部に留まることで色が定着します。

つまり、アルカリカラーでは、次の3つの反応が同時に進んでいます。

  1. 毛髪を膨潤させ、薬剤を内部へ浸透させる
  2. メラニンを分解し、髪を明るくする
  3. 染料を発色させ、毛髪内部へ定着させる

白髪染めも、おしゃれ染めも、この基本的な仕組みは同じです。違うのは、それぞれの目的に合わせたリフト力・染料濃度・アルカリ度数のバランスです。

白髪染めとおしゃれ染めは薬剤設計が違う

おしゃれ染めの主な目的は、黒髪を明るくしながら、希望する色味や透明感を表現することです。

一方、白髪染めには、色素を持たない白髪と黒髪をなじませる役割があります。白髪をしっかり染めるには、希望色だけでなく、白髪の明るさを補正するブラウンベースが必要です。

表1|おしゃれ染めと白髪染めの薬剤設計の違い
比較項目 おしゃれ染め 白髪染め
主な目的 黒髪を明るくし、色味や透明感を表現する 白髪を染めながら、黒髪との明度差をなじませる
リフト力 希望する明度と色味に合わせてメラニンを削る 黒髪を明るくしながら白髪も染める必要がある
染料濃度 希望色や透明感を見せる設計が中心 白髪を補正するため、ブラウンベースが濃い傾向がある
pH 短時間でリフトさせるため、高く設定された薬剤もある 染料を浸透させるために必要な膨潤力を持たせる
アルカリ度数 pHが高くても、アルカリ度数まで高いとは限らない 放置時間を通して染料を届けるため、低明度でも度数を持たせた設計がある
ダメージ傾向 リフト量や薬剤設計によって異なる 同じ仕上がり明度では、リフト力とアルカリの持続によって負担が大きくなる傾向がある

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※薬剤設計はメーカーやシリーズによって異なります。すべての白髪染め・おしゃれ染めに一律で当てはまるものではありません。

ただし、同じレベルのおしゃれ染めと白髪染めを比較するときは、仕上がりの明るさだけで髪への負担を判断しないことが重要です。

GEECHでは、この違いを「pH=膨潤、アルカリ度数=時間」と整理しています。pHは毛髪を膨潤させる条件、アルカリ度数はその反応環境を維持する条件です。詳しい違いは、後半の「pHとアルカリ度数は何が違う?」で解説します。

同じレベルなら白髪染めのほうが傷みやすい理由

同じ8レベルで仕上がる薬剤であっても、白髪染めのほうが髪への負担が大きくなる傾向があります。

理由は、単純に染料が濃いからではありません。ダメージの違いに大きく関係するのは、次の2つです。

  • 黒髪を明るくするリフト力の違い
  • アルカリ性を維持するアルカリ度数の違い
同じ8レベルでも白髪染めのほうが傷みやすい理由|リフト力とアルカリ度数の違い
同じ仕上がり明度でも、アンダーのリフト量とアルカリ反応の持続が異なれば、髪への負担も同じにはなりません。

見た目の明るさと、実際のリフトは同じではない

白髪染めは、黒髪を明るくしながら、白髪へ濃い染料を入れる必要があります。

薬剤によっては、黒髪のアンダーを仕上がりの明度以上にリフトし、その上から濃いブラウン染料を重ねることで、最終的に8レベル程度に見せているものがあります。

仕上がりが8レベルだからといって、黒髪のアンダーも8レベルまでしか削られていないとは限りません。

髪が暗く見えるのは、リフト力が弱いからではなく、削ったアンダーの上に濃い染料が乗っているからという場合があります。

この「見た目では分かりにくいリフト」が、白髪染めのダメージを考えるうえで重要です。

また、同じ明度でも透明感や鮮やかさが高い薬剤ほど、アンダーを強く削って色味を見せている場合があります。透明感が高いこと自体がダメージの原因なのではなく、その透明感をつくるためにどこまでメラニンを削っているかを見る必要があります。

白髪へ十分な染料を届けるには持続力が必要

白髪をしっかり染めるには、濃い染料を表面に付着させるだけでは不十分です。染料を毛髪内部まで届け、内部で酸化重合させて定着させる必要があります。

そのためには、アルカリ剤によって毛髪を膨潤させた状態と、染料・過酸化水素が適切に反応できるアルカリ性の環境を、必要な時間維持しなければなりません。

この持続力に関係するのが、アルカリ度数です。言い換えると、pHが「どの程度膨潤させるか」に関係し、アルカリ度数が「その反応環境をどの程度の時間支えられるか」に関係します。

アルカリ度数が高い薬剤は、髪や酸性成分の影響を受けても中和されにくく、アルカリ性の反応環境を維持しやすくなります。白髪へ十分な染料を届けるうえでは必要な働きですが、同時に毛髪が膨潤した状態も続きやすくなります。

反対に、アルカリ度数が低すぎると、塗布後に毛髪の等電点や酸性成分の影響を受けて薬剤のpHが下がりやすくなります。必要な反応時間を保てなければ、白髪が十分に染まらない原因になります。

また、膨潤が長く続けば、キューティクルや毛髪内部への負担が増え、内部成分も流出しやすくなります。さらに、アルカリ性の環境では過酸化水素による酸化反応も進むため、メラニンだけでなく毛髪そのものへの影響も大きくなります。

したがって、同じレベルの白髪染めがおしゃれ染めより傷みやすい理由は、リフト力の違いだけではなく、白髪へ十分な染料を届けて定着させるために必要な「アルカリ度数」と反応の「持続力」もダメージ差につながります。

ここは、次のように整理すると分かりやすいと思います。

  • リフト力が強いほど、メラニン分解による負担が増えやすい
  • アルカリ度数が高いほど、膨潤と酸化反応が続きやすい
  • 白髪染めは、黒髪のリフトと白髪への染料導入を同時に成立させる必要がある

同じ仕上がり明度でも、薬剤の中で「どこまで削り、どれだけ長く反応させたか」が違えば、ダメージも同じにはなりません。

pHとアルカリ度数は何が違う?

カラー剤の強さを判断するとき、pHだけを見ている美容師も少なくありません。

しかし、pHとアルカリ度数は同じものではありません。白髪染めの仕組みとダメージを理解するには、両方を分けて考える必要があります。

pHとアルカリ度数の違い|pHは膨潤、アルカリ度数は反応を支える時間
同じpHでもアルカリ度数が違えば、反応環境の持続時間や髪への負担は変わります。

pHは測定した時点でのアルカリ性を示す

pHは、その薬剤が酸性側にあるのか、アルカリ性側にあるのかを表す指標です。

カラー剤のpHが高くなると、毛髪は膨潤しやすくなり、染料や過酸化水素が内部へ浸透しやすくなります。

ただし、pHで分かるのは、あくまで測定した時点での酸性・アルカリ性です。

その薬剤にアルカリがどの程度含まれているのか、髪へ塗布した後もアルカリ性をどのくらい維持できるのかまでは、pHだけでは判断できません。

アルカリ度数はアルカリの総量と持続力を見る

美容業界でいうアルカリ度数は、薬剤に含まれるアルカリの総量を把握するための指標です。一般的には、薬剤のアルカリを中和するために、どの程度の酸が必要かを測定します。

中和するために多くの酸を必要とする薬剤は、それだけアルカリを保持する力が強く、毛髪へ塗布した後もアルカリ性を維持しやすいと考えられます。

つまり、pHが示すのは「測定時点のアルカリ性」、アルカリ度数が示すのは「どの程度アルカリを持ち、維持できるか」です。

現場感覚に置き換えるなら、pH=膨潤の強さ、アルカリ度数=反応を支える時間と捉えると理解しやすくなります。ただし、これは作用を整理するための表現であり、実際の反応はアルカリ剤の種類、過酸化水素濃度、毛髪履歴などにも左右されます。

なお、アルカリ度数の測定条件や表示方法は、メーカーや資料によって異なる場合があります。数値を比較するときは、同じ測定方法によるものかを確認する必要があります。

同じpHでもダメージが同じとは限らない

例えば、2つのカラー剤が同じpHを示していても、一方はアルカリ度数が低く、もう一方はアルカリ度数が高いことがあります。

塗布直後のpHは同じでも、アルカリ度数が低い薬剤は、髪や酸性成分の影響を受けると比較的早く中和されます。一方、アルカリ度数が高い薬剤は中和されにくく、毛髪の膨潤と酸化反応が長く続きます。

この違いが、染料の浸透や発色だけでなく、髪への負担の違いにもつながります。

表2|カラー剤を判断する4つの指標
指標 分かること 施術への主な影響 それだけでは分からないこと
pH 測定時点での酸性・アルカリ性 毛髪の膨潤や薬剤の浸透に関係する アルカリの総量や反応の持続時間
アルカリ度数 アルカリの総量と中和されにくさの目安 膨潤状態やアルカリ性の反応環境を維持する アルカリ剤の種類や最終的なリフト力
過酸化水素濃度 酸化反応を進める条件の一つ メラニン分解と染料の酸化発色に関係する リフト力やダメージのすべて
染料濃度 色の濃さや白髪のカバー力の傾向 白髪の染まり、色味、ブラウン量に関係する アンダーがどこまで削られているか

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pHが同じでもアルカリ度数が違えば、反応の持続時間や髪への負担は変わります。カラー剤は一つの数値だけで判断せず、放置時間、混合比率、毛髪履歴まで含めて考える必要があります。

アルカリを下げればダメージレスになるわけではない

ここまで読むと、「pHやアルカリ度数を下げれば、白髪染めのダメージを抑えられる」と考えたくなるかもしれません。

しかし、メーカーが想定しているpHやアルカリ度数を無計画に変えると、今度は染料の浸透や酸化重合が不十分になり、発色効率、彩度、色相、色持ちが変わる可能性があります。

特に、高いpH領域で発色することを前提に設計された薬剤は、pHを下げたときに本来の発色を再現しにくくなります。GEECHとしては、目安としてpH8.5を一つの境界にし、それより高い領域で設計された薬剤を8.5以下へ調整すると、発色効率が大きく落ちる場合があると認識しています。

一方、もともとpH8.5以下の領域で発色するよう設計された微アルカリ・ノンアルカリの薬剤は、GEECHのレシピでアルカリやオキシ濃度を調整した場合も発色変化を抑えやすく、薬剤によってはむしろ強く発色する傾向があります。

ただし、pH8.5という数値だけで、すべての薬剤の相性や安全性を決められるわけではありません。メーカーやシリーズごとに、染料構成、アルカリ剤の種類、推奨オキシ、標準放置時間が異なるため、実際の毛束検証が必要です。

GEECHで考えるダメージコントロールは、単にアルカリを減らすことではありません。

  1. 目的に合う1剤を選ぶ
  2. 必要な範囲でpH・アルカリ度数・オキシ濃度を調整する
  3. 染料の発色と酸化重合が不足しないレシピを組む
  4. 施術後に残留アルカリと残留オキシを適切に処理する

この4つを一つの設計として考えます。

ダメージを抑えるためにアルカリを下げても、染まりが不足して再施術になれば、結果として毛髪への負担は増えてしまいます。「染まること」と「傷ませないこと」を対立させるのではなく、希望色を成立させるために必要な反応だけを残すことが重要です。

白髪染めはリフト力と染料濃度のバランスで決まる

白髪染めには、黒髪を明るくするリフト力と、白髪を補正する染料濃度の両方が必要です。

リフト力が足りなければ黒髪が明るくならず、全体が暗く見えます。反対に、染料濃度が足りなければ、黒髪は明るくなっても白髪へ十分な色が入らず、白浮きしやすくなります。

そこで白髪染めには、白髪の明るさを補正するためのブラウンベースが多く配合されています。

ただし、ブラウンベースが濃くなるほど透明感は出にくくなります。また、既染部へ同じ薬剤を繰り返し重ねると、毛先にブラウン染料が蓄積し、暗く沈む原因になります。

ここで大切なのは、仕上がりのレベルだけでなく、リフトと染料のどちらをどの程度使ってその明るさをつくっているかを見ることです。

メーカーによって同じレベルでも仕上がりが違う理由

同じ「8レベルのアッシュ」と表示されていても、メーカーやブランドが変われば、仕上がりも髪への負担も同じにはなりません。

カラーチャートのレベル表記は、すべてのメーカーに共通する薬剤強度の規格ではありません。

あるメーカーの8レベルは、アンダーを強く削り、濃い染料で仕上がりを8レベルに見せる設計かもしれません。別のメーカーでは、リフトを抑えながら、異なる染料バランスで白髪を補正している可能性があります。

そのため、メーカーを変更するときに、レベル番号だけを合わせて薬剤を置き換えると、白髪が浮く、黒髪が明るくならない、想像以上にアンダーが削れる、毛先が暗く沈むといったズレが起こります。

白毛束への発色だけでなく、黒髪に対するリフト力や、退色した後のアンダーまで確認することが大切です。

薬剤を比較するときは、白毛束の色味だけでなく、次の6点を見ると設計の違いをつかみやすくなります。

  1. アンダーをどこまでリフトするか
  2. どの染料を、どの程度組み合わせているか
  3. 仕上がり明度以外の補正色をどの程度含むか
  4. pHとアルカリ度数をどう組み合わせているか
  5. どの種類のアルカリ剤を使用しているか
  6. 処理剤やトリートメント成分をどう組み合わせるか

同じ「8レベル」に見えても、この組み合わせが違えば、透明感、白髪のカバー力、色持ち、退色後のアンダー、ダメージは変わります。

白髪染めで毛先が暗く沈む仕組み

白髪染めを繰り返している髪では、根元と毛先で必要な薬剤の働きが異なります。

新生部には、黒髪を明るくしながら白髪を補正する力が必要です。一方、既染部はすでにメラニンが削られ、人工染料も残っています。

この既染部へ、根元と同じリフト力・アルカリ度数・染料濃度の薬剤を毎回伸ばすと、必要のない膨潤と酸化反応を繰り返しながら、濃いブラウン染料をさらに重ねることになります。

その結果、毛先ほど暗く濁り、硬く見えやすくなります。髪の内部では負担が増えているのに、濃い染料によってツヤが出たように見え、ダメージに気づきにくい場合もあります。

暗く沈んだ毛先を明るくするときも、すぐにブリーチや高アルカリカラーを使用するのではなく、人工染料の残留とアンダーの状態を分けて考える必要があります。

新生部と既染部で薬剤を使い分ける

白髪染めによるダメージを抑えるには、新生部と既染部を同じ薬剤で考えないことが重要です。

新生部は必要なリフト力とアルカリ度数を選ぶ

新生部では、白髪率、黒髪の明度、希望する仕上がりに合わせて、必要なリフト力・染料濃度・アルカリ度数を選びます。

白髪をしっかり染めるには、染料濃度だけでなく、その染料を内部まで届けるための持続力が必要です。

ただし、必要以上にリフト力やアルカリ度数を上げれば、その分だけ毛髪への負担も増えます。白髪を染めるために必要な力と、髪を傷めないために抑えるべき力のバランスを取ることが大切です。

既染部には不要なリフトを繰り返さない

既染部では、現在見えている色だけでなく、残留している人工染料と髪の体力を確認します。

明るさを変える必要がない場合は、低アルカリ・微アルカリ・中性領域のカラーなど、不要なリフトと膨潤を抑えられる選択肢を検討します。

ただし、「低pH」「低アルカリ」と書かれているだけで安全とは判断できません。pH、アルカリ度数、過酸化水素濃度、放置時間、これまでの施術履歴を合わせて判断します。

カラー後に残留物を残さない

カラー剤を流した時点で、すべての反応が終わっているとは限りません。

施術後は、毛髪に残ったアルカリや過酸化水素、未反応の成分をできるだけ残さず、酸化反応を適切に完了させることも重要です。

薬剤選定だけでなく、施術後の処理まで含めてカラーを設計することで、次回来店までのダメージや退色の差につながります。

GEECHでは、施術中の膨潤をただ避けるのではなく、その状態を利用して必要な処理成分を毛髪内部へ届け、内部から表面まで反応させることも重視しています。そのうえで、施術後には残留アルカリと残留オキシを適切に処理し、反応を必要以上に残さないようにします。

大切なのは、「膨潤させないこと」ではなく、必要な反応を必要な時間だけ使い、施術後にきちんと終わらせることです。

白髪染めの仕組みに関するよくある質問

白髪染めは、おしゃれ染めより傷みますか?

同じレベル表記で比較した場合、白髪染めのほうが髪への負担が大きくなる傾向があります。

白髪染めには黒髪を明るくするリフト力だけでなく、濃い染料を毛髪内部まで届けるためのアルカリ度数と持続力が必要になるためです。ただし、実際の負担はメーカーや薬剤設計によって異なります。

pHが高いほどアルカリ度数も高くなりますか?

必ずしも一致しません。

pHは測定した時点でのアルカリ性、アルカリ度数はアルカリの総量と持続力を見る指標です。pHが同じでもアルカリ度数が違う薬剤や、pHがやや低くてもアルカリ度数が高い薬剤があります。

pHが低ければ傷みにくい薬剤ですか?

pHだけでは判断できません。

pHが低くてもアルカリ度数が高ければ、アルカリ性の反応環境が長く続く可能性があります。過酸化水素濃度、放置時間、塗布量、毛髪履歴も含めて判断する必要があります。

また、高いpHを前提に設計された薬剤のpHを単純に下げると、発色効率や酸化重合が不足する可能性があります。低pH化だけでダメージレスになるわけではありません。

アルカリ度数が高いほど白髪はよく染まりますか?

アルカリ度数は、染料を内部へ届けるための膨潤と反応環境の維持に関係します。ただし、アルカリ度数だけを高くしても、染料濃度や染料構成が合っていなければ、狙った色にはなりません。

白髪の染まりは、アルカリ度数・染料濃度・過酸化水素・塗布量・放置時間などの組み合わせで決まります。

明るい白髪染めで白髪が浮くのはなぜですか?

明るさを優先した白髪染めでは、白髪を補正するブラウンベースが少なくなる場合があります。

黒髪は明るくなっても、白髪へ入る染料が足りなければ、白髪だけが明るく浮いて見えます。白髪率や希望明度に合わせて、リフト力と染料濃度のバランスを調整する必要があります。

まとめ|白髪染めのダメージはpHだけでは判断できない

白髪染めとおしゃれ染めは、どちらも毛髪を膨潤させ、メラニンを分解し、染料を毛髪内部で発色・定着させる仕組みです。

しかし、同じレベル表記でも薬剤設計は同じではありません。

白髪染めには、黒髪を明るくするリフト力と、白髪を補正する濃い染料が必要です。さらに、その染料を毛髪内部まで届け、発色・定着させるために、アルカリ性の反応環境を一定時間維持するアルカリ度数も必要になります。

この記事の要点は、次のとおりです。

  • 同じレベルでも、白髪染めのほうが傷みやすい傾向がある
  • ダメージ差は、リフト力だけでなくアルカリ度数の違いからも生まれる
  • pHは測定時点のアルカリ性、アルカリ度数はアルカリの総量と持続力を示す
  • 現場では「pH=膨潤、アルカリ度数=時間」と整理すると理解しやすい
  • 同じpHでも、アルカリ度数が違えば染料の浸透や髪への負担は変わる
  • 濃い染料そのものより、染料を内部まで届けるための膨潤と反応の持続がダメージに関係する
  • アルカリを下げるだけでは、発色効率や酸化重合が不足する場合がある
  • 新生部と既染部では、必要なリフト力・染料濃度・アルカリ度数が異なる

カラーチャートのレベル番号やpHだけで薬剤を判断せず、リフト力、染料濃度、アルカリ度数、過酸化水素濃度まで含めて処方を考えることが大切です。

目の前の発色だけでなく、退色後のアンダーや次回来店時の毛髪の状態まで考えて薬剤を使い分けることが、白髪染めを長く続けるためのダメージコントロールにつながります。

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この記事を書いた人

美容師歴32年。geechの前身メーカーにて2人の開発者と出会ったことをきっかけに、薬剤の検証や商品開発に携わる。現在は「geech curious(ギークキュリオス)」のWeb担当として、サロンワークの傍らAIを駆使したブログ更新や実験検証を行う。

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