【プロ向け】アルカリ度とpHの違い。薬剤の強さと持続力を読み解く

「この髪の履歴なら、薬はどれくらいの強さでいけるかな……?」

パーマ縮毛矯正の薬剤を選ぶとき、今までの感覚に頼ってヒヤッとしたことはありませんか?

最近は、エイジング毛や複雑な履歴を持つお客様が増えています。実際に、リクルートの『ホットペッパービューティーアカデミー』の調査データを見ても、40代以上の女性の多くが「白髪」や「髪のボリューム減少」といった悩みを抱えており、サロンケアへの期待は年々高まっています。

「いつもと同じ薬」を使ったはずが、予期せぬ過膨潤やビビリ毛になってしまったというケースをよく耳にします。こうした事故は、技術力の不足というよりも、薬剤スペックの読み違いが原因となっている傾向があります。

この記事では、サロンのクオリティを底上げし、お客様の髪を本気で守るために不可欠なアルカリ度とpHの明確な違いについて解説します。この数値を正しく読み解き、サロン内でブレない薬剤選定の基準を共有することで、無駄なダメージを防ぎ、お客様のLTV(生涯顧客価値)向上へと繋げることができます。

目次

なぜ美容室オーナーは「アルカリ度」と「pH」の違いを理解すべきなのか?

美容室の経営を安定させるには、すべてのスタッフが同じ基準で安全な施術を提供できる環境づくりが欠かせません。その土台となるのが、薬剤の基礎知識です。

感覚的な薬剤選定は失客のリスクを高める?

技術力ではなく「薬剤スペックの読み違い」による不要なダメージが、失客の大きな原因になる傾向があります。

私自身、サポートしてきたサロン様を見てきて、技術力はあるのに薬剤の選定ミスによるダメージが原因で,

お客様が再来店しなくなっているケースを何度も見てきました。実は私自身も過去に、スペックを過信してお客様の髪をビビらせてしまった苦い経験があります。

新規集客のコストが高騰している今、一番大切なのは「今来てくれているお客様の髪の体力を削らないこと」です。感覚的な選定から卒業することは、サロンの失客リスクを下げるための必須の対策です。

メーカーの言葉に振り回されない「明確な基準」って何?

スペック表にある「数値(pHとアルカリ度)」を正しく読み解き、自社で本当の強さを判断できる知識のことです。

サロンには次々と新商材の案内が来ますが、ディーラーの「優しめだけどしっかりかかる」といった曖昧な言葉をそのままスタッフ間で共有していませんか?

違いがわかれば、言葉のイメージに惑わされることはありません。成分データを見ただけで、「この薬の瞬発力と持続力はどれくらいか」を瞬時に判断できるようになります。

本当に必要な薬剤だけを厳選して導入し、安全な施術の仕組みを作ることが可能です。

pHとアルカリ度の決定的な違いとは?美容室の薬剤における役割

パーマ縮毛矯正のパッケージに記載されている「pH」と「アルカリ度」は、髪に対して全く異なる働きをします。

pH(水素イオン濃度指数)が示す「薬剤の瞬発力」とは?

pHとは、薬剤が髪に触れた瞬間にキューティクルを開き、還元剤を反応させる「スピードと強さ(瞬発力)」のことです。

日本毛髪科学協会なども言及している通り、毛髪のケラチンタンパク質が最も安定する「等電点」はpH4.5〜5.5の弱酸性です。薬剤がそこからアルカリ性に傾くほど、キューティクルを開く初期の力は急激に高まります。pHが「1」変わるだけで実際の濃度は10倍変わるため、数値がわずかに高いだけで初期負担は桁違いに跳ね上がります。

アルカリ度が示す「薬剤の持続力」とは?

ルカリ度とは、薬剤に含まれるアルカリ剤の「量(容量)」であり、髪の内部で反応を長く維持し続ける「持続力」のことです。

pHが「瞬発力」なら、アルカリ度は「その強さをどれだけ長く維持できるか」を示します。アルカリ度が高い薬剤は、健康で硬い髪には必要ですが、ダメージのあるエイジング毛などに使用すると反応が長引き、髪が過剰に軟化する「過膨潤」を引き起こす最大の原因になります。


パーマや縮毛矯正で失敗しない薬剤選定の基準とは?

髪の体力を残すために「アルカリ度を必要最低限に抑え、還元剤の力で形状を変化させること」が、失敗を防ぐための基準です。

高pH・高アルカリの薬剤は強力ですが、髪への負担も極めて大きくなります。現場のサロンワークに落とし込むための具体的な考え方を解説します。

ダメージを抑える「低アルカリ・高還元」の考え方とは?

キューティクルを無理に開くアルカリを最低限に抑え、還元剤の濃度でしっかりクセを伸ばす現代的なアプローチのことです。

一昔前のパーマ縮毛矯正では、強いアルカリの力に頼る手法が主流でした。しかし現代は、カラーやヘアアイロンなどでダメージ履歴が複雑化しています。 そのため、アルカリ剤で無理やり開くのではなく、薬剤そのものの浸透力をコントロールし、髪の弾力を残したまま形状を変える手法が重要です。

髪質や履歴(ダメージレベル)に応じた最適な薬剤の選び方は?

単に「弱い薬」を選ぶのではなく、成分が最も活きるpHを狙ってコントロールすることが重要です。

過去の失敗や検証を経て、現在ギークでは明確な基準を設けています。例えば、パーマの場合、還元剤が最も働きやすい「pH8前後」を狙って施術したり、全体のカラーに関しては色身が出やすく、髪ダメージも少なくするために「pH8.5」前後に設定するなど、闇雲に上限を決めるのではなく「成分のポテンシャルを最大化しつつ負担を下げるpH」をコントロールしています。

  • 健康毛・撥水毛への対応 薬が浸透しにくいため、ある程度のpHとアルカリ度が必要ですが、放置しすぎるとアルカリの持続力が効きすぎて傷むため、放置時間の厳格な管理が必須です。
  • エイジング毛・既染毛への対応 すでにキューティクルが開きやすいため無駄な高アルカリは避け、薬剤の主成分(還元剤など)が働く最低限のpHとアルカリ度を狙い撃ちすることが、失敗を防ぐための確実な対策です。

このように、髪の履歴に基づいてアルカリ度とpHの違いを適切に使い分けることが、プロの確実な薬剤コントロールに繋がります。

設定項目 健康毛・撥水毛 エイジング毛・既染毛
推奨されるpHの目安 pH 8.5 〜 9.5
浸透しにくいためある程度の高さが必要
pH 7.0 〜 8.0(中性付近)
すでに開きやすいため低めに設定する
アルカリ度の考え方 一定のアルカリ度が必要
反応を維持するためのスタミナを持たせる
極力ゼロに近づける
無駄な高アルカリは過膨潤を招くため避ける
放置時間の考え方 放置時間の厳格な管理が必須
効きすぎて傷む前に短時間で的確に反応させる
還元剤の濃度でじっくり反応
アルカリに頼らず、還元剤を隙間から浸透させる

※↔スワイプして表を見る

ここまでのポイント

  • pHはキューティクルを素早く開く「瞬発力(強さ)」を示す
  • アルカリ度は反応を長く持続させる「スタミナ(容量)」を示す
  • エイジング毛には高アルカリを避け、還元剤の濃度でアプローチするのが安全

サロンの信頼を高める「残留アルカリ処理」の重要性

施術後のダメージを長引かせない処理剤の役割

シャンプーでは落ちきらない残留アルカリを確実に除去し、退色やパサつきといったダメージ進行を食い止めることです。

これを放置すると、帰宅後も数週間かけて徐々にタンパク質が流出し続けます。バッファー剤などで髪を本来の等電点に戻す処理は、プロとして必須の工程です。

しかし、意外とこの部分をおろそかにしている美容師さんも多いように感じます。お客様と長いお付き合いを考えるのであれば、非常に重要なポイントとなりますので、ぜひ覚えておいてください!

お客様への説明が客単価向上に繋がる

実際にキュリオスメンバーの多くのサロンで、再来率8割以上を維持しつつ、この「処理剤の必要性と根拠」を仕組み化した結果、客単価が軒並み上がって」います。

「傷まないように処理しました」ではなく、「今回はアルカリの薬剤を使用したため、髪に残った成分を無害化する専用の処理をしています」と事実を伝えることが、信頼と単価アップに直結します。

何より、アルカリ処理をきちんと行うと、それだけでもお客様の髪の状態は徐々に変わてくるはずです。ぜひ、お客様とともに。その違い、変化を楽しんでみてください!

よくある質問(FAQ)

Q1:pHとアルカリ度は具体的に何が違うのですか?

pHは薬剤が反応する「瞬発的な強さ」、アルカリ度は反応を維持し続ける「スタミナ(持続力)」です。

Q2:縮毛矯正やパーマで過膨潤(ビビリ毛)を防ぐには?

アルカリ度を抑え、還元剤の濃度でアプローチする「低アルカリ・高還元」の薬剤を選ぶのが安全な基準です。

Q3:施術後の残留アルカリ処理は絶対に必要ですか?

はい。シャンプーだけではアルカリ剤を取りきれず、後日のダメージ進行を引き起こすため、専用の処理が不可欠です。


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